お盆供養の仕方
毎年8月になると、お檀家さんから「ご住職、今年のお盆はどうなりますか?私、今年初めてお盆を迎えるので全く分からないんです。どうすればいいでしょう?」という質問をいただきます。
そこで今回は、お盆はどうすればいいのかということについてお話をします。
お盆というのは、地域にもよりますが、大体8月13〜15日です。
もともとインドの、お釈迦様がいた頃からある盂蘭盆(うらぼん)、ウランバーナが中国語に訳され、それが日本では「お盆」と呼ばれるようになりました。
8月13日、またはその前後にお寺で法要をして、ご先祖様をご自宅にお迎えするわけです。
かつては、特別なお盆棚を自宅に設けて、そこに竹を四方に巡らせて麻の紐を結び、ホウズキなどを飾っていました。
また、「帰ってくる時は馬のように早く。戻る時は牛のようにゆっくり」ということで、キュウリを馬、ナスを牛に例えていました。
そして、ご先祖さますべての御位牌をお仏壇からお盆棚に移して並べていただいて、そこにお供物をお供えするわけです。
どういったものをお供えするのかというと、旬の野菜、そして果物やお菓子です。
それからご飯は、お盆の時は普段よりも少し多めに盛ってお供えします。
その後、ご先祖様がいらっしゃるのをみんなでお迎えするということで、13日の夕方にお盆棚に迎え火を灯します。
これは「明かりを頼りに戻ってきてほしい」という意味なのです。
そして16日になったら、今度は「どうぞ、お帰りください」とまた火を焚くわけです。
それが大きな行事になったのが、京都の大文字焼きでございます。
このようにお盆というのは、仏教や神道にかかわらず、日本人にどっしりと根付いた文化、あるいは信仰になっております。
コロナでなかなか帰省することができないということがここ何年間かありました。
もし今年お帰りすることができるのなら、故郷のおじいちゃんやおばあちゃんのところへ行ってお盆を過ごしていただけると、ご先祖様だけではなく、みんな喜ぶのではないかなと感じる次第です。
もう1つ、「お供えした食べ物はどうするんですか?」という質問もいただきます。
例えば、朝になってお茶やご飯をお供えしたとします。
そしてお線香を立てて、できる方はお経を唱えていただいたら下げていいのです。
下げて食べてしまう、それが大事なのです。
例えば親戚の方が来て「これどうぞ、仏様にお供えしください」と言われても、しばらく経ってばみんな食べてしまうではありませんか?
それと同じで、みんな下げて食べてしまってください。
実はそれが、法要の後、みんなで一緒に食事をするというところにつながっているのです。
ですから、みんなで一緒にいただくのがよろしいかなと考えております。
お盆は亡くなったご先祖様と共に、家族もみんな1つに集まって時を過ごします。
こうして、「目に見えない命がずっとつながっているんだ」ということを感じていただけるとありがたいなと思います。
先日、テレビを見ていたら、都内の盆踊りの会場が神社でした。
これはとてもいいことだと思いました。
もともとお盆は仏教の行事です。
「あな嬉しや」と言って踊ったのが始まりで、それが盆踊りになっていったのですが、それを神社でやるというところが、日本人のいいところだなと感じました。
「いや、神社だから盆踊りなんかやらないよ」などと言わないでほしいのです。
「お寺だからクリスマスはやらないんだ」という話ではなく、どんどんやろうかなと考えています。
やはり、宗教を超えて心を込めてお勤めするというのが大事なことなのだなと思っています。
今回はお盆についてお話をさせていただきましたが、「みんなが幸せになるためにいろいろなことが行われているのだな」と、少しでも感じていただけたら嬉しいです。