雨でも石に穴を開ける
奈良時代の僧、明詮法師は、10歳の時、奈良の元興寺に入りました。
ところが、意欲はあるのですが、なかなか理解ができず、先輩僧からは馬鹿にされていました。
さらに、明詮は、飽きっぽいため、辛い修行も最後まで辛抱できそうもありません。
気持ちが萎えた明詮は、
「こんな気持ちでは、佛道修行を達成することなどできそうもない。父母には申し訳ないが、続けられそうにないな」と思い、
お寺を密かに抜け出し、隠れていました。
そんな折、雨が振り出しのです。
どこにも動くことができず、木の下でじっとしていました。
雨だれが石の上に落ちるのが、意識することなく目に入りました。
ぼんやり眺めていた少年明詮は、ある事に気づきました。
雨が落ちている所に、穴があいていたのです。
「あんなに硬い石でも、水は、穴を開けることが出来る。
ずっと長い間、落ち続けていたからだ。
佛道修行を全うするという夢を抱いて、お寺に入ったじゃないか。
自分が、なかなか理解が出来ないのは、やり続けることが足りないからだ。
精進が足りないだけだ。
雨が、石に穴を開けることが出来るように、
一つのことをずっとやり続けていれば、
どんなに時間が掛かったとしても、
やり通すことが出来るに違いない。」
少年明詮は、そう、心に強く刻みました。
そして、逃げ出すことをやめ、寺に戻り諦めることなく、修行を重ねたのです。
「これを叶える」と決めた夢は、
けっして消えてなくなったりすることはありません。
途中であきらめたり逃げたりしてしまうのは、あなたのほうなのです。