仏性の中にいる
難しいことは、だんだん分かっていけばいいのです。
まずは簡単にできることから始めましょう。
最初から「般若心経を読まないと御朱印できません」と言ってしまったら、誰もやらなくなってしまいます。
ですから、まず最初は順番が違っても「はい、皆さん御朱印」でいいのです。
後から「ああ、そうなんだ」と気が付いて、お参りしてから御朱印をいただいて、「ああ、ありがたいな」というふうに感じればいいのです。
そうしたら、次は「今度はお経を読んでみたいな」となります。
これもまずは般若心経ではなく、もう少し短いお経から始めれば結構です。
人間というのは面白いもので、やっていくうちにだんだん欲が出てきます。
最初はできなくても、できるようになると「ああ、もうちょっと次にいきたいな」となってくるわけです。ですから、最初は短いお経でいいのです。
それがだんだん長くなっていって、最終的には仏陀を目指すことになります。
これが仏教の究極の目標なのです。
仏陀になれる可能性はどんな人にもあります。
ただ、そのための道のりがどこにあるのか分からないから迷っているわけです。
仏陀になれる種、これを仏性と言います。
この仏性をみんなが持っているというよりも、むしろ私たちは仏性の中にいるのです。そこに気が付かないから迷うわけです。
「仏性の中にいるんだ、あとはお任せすればいいんだ」と考えることができれば、迷いの質が変わってきます。
「悟ろう、悟ろう」と思って修行するのは迷いなのです。
「悟りの中にいるんだ」と考えて、ただ任せればいいのです。
要するに、私たちは今、仏の中の世界に生きているわけです。
そう捉えると、どんな困難にも、どんな良いことも左右されることがありません。
どんなに苦しいことがあっても、仏の世界にいるのです。
そう思っても迷ってしまうわけですが、それもまた人間の素晴らしいところなのです。