常楽寺のおみくじ
常楽寺にもおみくじがあるのですが、これが天台宗だったことが分かる唯一のものなのです。
みんな焼けてしまったのですが、これだけが残ったのです。
「天保八年九月 十一番万徳達」と書いてありますが、これが常楽寺が天台宗であった、しかもここにおみくじがあったという証なのです。
このおみくじ、「元三大師百籤(くじ)」を今も使っております。
天台宗を開いたのは最澄さんですけれども、天台宗をしっかりと今のような形にまとめた中興の祖というのは元三大師です。
そして、元三大師が考案したと言われているのが、おみくじです。
実際、私もこのおみくじを引いてみたのですが、さすがです、82番「凶」と出ました(笑)。
そこにはこうありました。
「たかぬ日の 胸にも燃えて苦しきは 心の鬼が身を責める」
先日『鬼滅の刃』を見たのですが、やはり心の鬼が身を責めるのですね。
「よろず慎み深くせねば災難あるべし」、慎み深くすれば災難はないと、そういうふうに受け止めました。
もう1つ大切なのが、元三大師が書かれた本なのですけれども、これがおみくじの元になっているのです。
やはり82を見てみると、要するに「怒るなよ」と書かれています。
最近いろいろなことが起こっているのですけれども、坐禅瞑想の功徳というか、かつての私であれば「何なんだ!」とちゃぶ台返しをするような感じだったのが、最近は怒りが静まるという経験をしております。
やはり、坐禅はありがたいなと強く感じております。
このようにおみくじを引きましても、これをどう受け止めるかが大切です。
「凶なんだ、ダメだ」と思ってはいけません。
皆さんおみくじを結ばれますが、実は何を結ぶかご存知ない方が多いのです。
これは凶を結ぶもので、大吉などは結びません。
凶を結んで置いていくから、凶が落ちるというわけです。
凶を納めて、平らかな気持ちで出ていく、これが大事なのです。
常楽寺には元三大師のおみくじがありますので、お参りの時にはぜひ江戸時代のくじを引いてみてください。
そして、「ああ、これが元三大師のおみくじだ。ありがたいな」と感じていただければと思います。
江戸時代の少し古い言葉で書いてありますから、先日も「これ、どう読むんでしょう?」と言われたのですけれども、ご自分で読んでいただいてご解釈いただければ結構です。