トイレの神様

今回はお手洗いのお話をします。
曹洞宗では、お手洗いを「東司(とうす)」と呼びます。
そして、そこには必ずお祀りされている仏様がいらっしゃいます。

それが烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)です。
ご真言は「オンクロダノウンジャクソハカ」で、世の中にある汚れを焼き尽くしてくださる観音様なのです。

トイレというと「汚いもの」「汚れているもの」とお考えになっている方が多いのですけれども、禅宗では最もきれいにしている場所なのです。
東司(トイレ)、浴司(お風呂)、僧堂(坐禅堂)は「三黙道場」と呼ばれ、しゃべってはいけない尊い場所とされています。

修行をする時には、「首座(しゅそ)」と呼ばれる修行僧のリーダーが東司の掃除をします。
つまり、一番の先輩格が東司掃除を率先して行うわけです。
汚れを取るのではなく、きれいな場所をきれいなままにする、それが尊い修行なのです。

私たちの心も同じなのです。
私たちは年齢を重ねるにつれて、塵芥(ちりあくた)がいろいろと積もってしまいます。
そういったものを元の状態に戻さなくてはいけません。
お掃除しないでいると汚れてしまいますから、きれいな状態に戻すわけです。

きれいな場所をきれいなままにしておく、これが東司から学ばせていただける作務、掃除の心得でございます。
今回は、烏枢沙摩明王から「清浄なるものは清浄のままにしておく」その心構えを持つということをお話をさせていただきました。

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