ほめるプロフェッショナル
実は、ほめることが苦手でした。
日常のことで、ほめる点を見つけることが出来ませんでした。
どこでもいいから、いいところを見つけて、「それ、いいね」って言えばいいんです。
知識では分かっていても、実行に移せませんでした。
二十年ほど前までのことです。
大学在学中、バレーボールのコーチをしていました。
バレーボールを教えているときは、褒めることも叱ることも上手でした。
しかってばかりで、しかもとても厳しかったけれど。
ほめることより、出来ていないことにばかり、目が向いていたのです。
焦点が、できないことに当たっていました。
20年も前から、様々なセミナーに参加し、たくさんの人の話を聞いていました。
言葉の大切さ、相手への伝え方など頭では分かっていても、実行できない自分がいました。
何がきっかけだったのか、はっきり覚えていませんが、
少しずついいところに焦点が当たるようになったのです。
「認めてほめて愛して育てる」という言葉に出会いました。七田真先生の言葉です。
幼稚園で大切にしていたことをずばり言い当てている言葉でした。
認める、ほめる、愛する、それぞれの言葉について、深く考察しました。
先々代園長は、「叱らない保育」を提唱していました。それを受けてさらに広げ、ほめることを園の方針にしました。
子どもたちをほめます。
出来たことをほめます。
挑戦したことをほめます。
我慢したこともほめます。
毎日のコツコツとした取り組みに、子どもたちは小さな達成感を味わいます。
子どもたちが、自分に溢れ、自分らしくいられるようになりました。
少しずつ高みに挑戦します。課題にクリアしたら、ほめます。自信がみなぎります。
いつの間にか、私もほめることが苦手でなくなってきました。
職員をほめるようになっていました。
吉田恭子先生に出会い、脳科学のアプローチからほめることの大切さを学びました。
人は、ほめられると脳内ホルモンである「ドーパミン」が分泌されます。ドーパミンは、快楽物質でもあり、快楽をもたらします。ほめられると気持ちが良くなるのは、このメカニズムによります。
ほめられると脳が活性化され、記憶中枢を刺激されると言います。
逆にしかられると、ノルアドレナリンが分泌され、身構えてしまいます。
萎縮してしまうのです。
なぜ、ほめるのか?その理由、タイミング、心や体に及ぼす影響、これを理解してほめるのがプロです。
指導的な立場(議員、経営者、先生、保育士など)にある人は、すべからくほめるプロフェッショナルでなければいけません。