花咲じいさん お釈迦様
4月8日は、仏教を開かれた、お釈迦様の誕生日を祝う、降誕会(ごうたんえ)です。
お釈迦様は、インドの北、いまはネパールのルンビニーで、お生まれになりました。
日本では、降誕会(ごうたんえ)を花まつりと言って、各地のお寺で花御堂を飾り、甘茶をかけてお祝いしています。
さて、この花まつり、いつ頃から始まったのでしょうか?
南無の会元会長で、100歳過ぎまで活躍された故松原泰道老師が、始まった頃のいきさつを月刊誌「ぴっぱら」で述べていました。もしかすると花まつりの起源をしる唯一の資料かもしれません。多くの人に知っていただきたいので、少々長くなりますが、引用させていただきます。
『花咲じいさん』の日本の古典童話をご存じですね。いじわる爺さんからどんなにいじめられても、いつもにこにこして灰をまいて、枯木に花を咲かせて人びとの心を楽しませたおじいさんを・・・
この古典童話から、いま私たちはいろいろなことを象徴的に学ぶことができます。まず枯木とは、枯れ死した木ではなく、冬枯れした淋しい木になぞらえて、生きる喜びも人間の尊さも忘れた、うつろな人のことです。
そのような人びとに、”あなたの心の中に仏さまがいらっしゃる”と法の灰をまいて心に花を咲かせてくださったのが、お釈迦様です。そこで、大正のはじめに東京浅草花川戸の真宗大谷派蓮窓寺のご住職の安藤嶺丸先生が、”花咲じいさんお釈迦様”と、今で言うキャッチフレーズで、宗旨宗派を超えて釈尊の生誕運動を始められたのが、『花まつり』の行事です。当初は東京の日比谷公園で行われました。
花まつりも創始以来100年近くなり、記憶している人も皆無になるので、記録に残しておく必要があります。創始当初の花まつりの当日は、当時の東京市内電車(市電)の運転士さんや車掌さんが、胸に花まつりの花記章をつけていました。花まつりは東京の市民運動でもあったのです。
花まつりは、お花見ではありません。花まつりの花は、仏心(仏の心・仏のいのち)を表します。仏心は釈尊が悟られた智慧と慈悲の心です。仏心は釈尊だけでなく、また人間に限らず、すべてのものが本来具えている真実を、釈尊はお悟りになったのです。
お釈迦様のお悟りを花にたとえ、そして誰もが持っている仏心という花を咲かせるのが、花まつりなのです。大正のはじめに始まった花まつり。時と場所を越えて、今まで広がり続けています。
大切にしなければならない行事の1つです。