曹洞宗の住職が感じる各宗派の特色
曹洞宗では、黒に木蘭という、ある意味地味な組み合わせが定番ですが、例えば他の宗派では金襴の御袈裟を着たりします。
曹洞宗でも金襴の御袈裟を着こともあるのですが、お坊さんが集まるときには、やはり黒と木蘭なのです。
曹洞宗はどちらかというと黒い軍団、臨済宗さんは茶色に染まっているので茶色い軍団です。
真言宗さんは紫や青などが多いなという印象があります。
これはあくまでも私の印象で言っています。
他の宗派のことについては門外漢ですので、間違っていてもご容赦ください。
このように、それぞれの宗派によって御袈裟や衣にも特色があります。
何年か前に、YouTubeでお坊さんのファッションショーを企画したお坊さんたちがいましたが、そういう面白さがあります。
それから、「美坊主クラブ」というものもありましたが、私は絶対に入れません(笑)。
宗派ごとによって特色があって、それがいいのです。
曹洞宗はどちらかというと緩めですが、臨済宗さんはガチッと固まっている感じがして、いかにも禅宗のお坊さんという気がします。
真言宗さんは声明を上げますし、日蓮宗さんはお経に熱がこもっている感じがします。
そして浄土宗さんもすごいのです。
曹洞宗ではお経のリズム通りに木魚をたたきますが、浄土宗では裏のリズムでたたくのです。
あれをずっとやっていると絶対にトランス状態になると思います。
まさに「南無阿弥グルーブ」……、これを浄土宗の人に読まれたら怒られてしまいますね(笑)。
ちなみに、浄土宗さんでは、この裏打ちの木魚にテストがあるそうですが、あれを聴いていると阿弥陀さんにウワーッと引き込まれる感じがします。
浄土宗の念仏はやはりすごいなと思います。
それぞれの宗派にはそれぞれの良さがあって、御真言を唱える真言宗にはいろいろな真言があって、真言を唱えることの意味が分かってくるとそのすごさが伝わります。
天台宗にも、もちろん良さがあります。
天台宗があったから、それぞれの宗派があり、法華経を学ぼうと思ったら天台宗を避けて通ることはできません。
日本にはそれぞれの宗派に素晴らしいところがあって、輝いています。
たくさんの宗派があるからこそ、いろいろな学びがあるわけです。
道元さんとお釈迦様しか知らないのではなく、やはり親鸞さんや法然さん、日蓮さんや天台さん、空海さんや最澄さんもいて、そういう方々の教えが何百年も続いているわけです。
しかし私が知っているのは、ほんのわずか、ガンジスの砂ぐらいのものです。
これから私が何百年生きたとしても、たどり着けないかもしれません。
今回はそれぞれの宗派の良さ、そして宗派が違うからこそ輝いているんだということをお話しさせていただきました。