お坊さんが着ているもの
宗派によっては長いものや大きいのもあるのですが、曹洞宗のお坊さんが身に着けるもので絡子(らくす)というものがあります。
これはいろいろな布が縫い合わせられてできています。
実は、これを大きくするとお袈裟になるのです。
お袈裟が省略されてこの形になっているわけです。
行事、または修行するのに当たって身軽に動く必要があったなど、さまざまな理由から「お袈裟をもう少し小さくしましょう」ということで、絡子(らくす) というものが生まれてきたのです。
では、なぜお坊さんはお袈裟を掛けるのでしょうか?
袈裟というのはお釈迦様が身に着けていたもので、ある意味お釈迦様そのものを表しているわけですから、私たちお坊さんにとってとても大切なものなのです。
道元様は「お袈裟を大切にしなさい。お袈裟がお釈迦様なんだ」と言って、お袈裟を礼拝していました。
それほど大切にしていたのです。
インドでは浄・不浄の概念、要するに「清いもの・清らかではないもの」という考え方がありました。
右側は浄・左側は不浄だと考えていたのです、食事は必ず右手で食べるわけです。
それで、清らかなもの、お袈裟を左側に掛けることで浄と不浄をなくす、そのような意味合いもありまして、必ず左側に掛けるのです。
お坊さん同士がすれ違うときは、お袈裟とお袈裟が擦れ合ってはいけないので、必ず左側が廊下側になっていて、右肩がすれ違うように左側通行になっています。
お袈裟というのはとても大切なもので、修行をするとき、または法要をするときには長いお袈裟を着けます。
そして、日常で人とお会いするときには絡子(らくす) を掛けます。
さらにそれがもっと簡略化されているのが輪袈裟というわけです。
そして、草むしりやお掃除をするときに着ているのが作務衣です。
昔は今ほど日本中に知れ渡っていなくて、本当にお寺の修行僧だけが着ていたようなものでしたけれども、そういうときに絡子(らくす) は掛けません。
なぜならお掃除など「作務」をするために着るものだからです。
それぞれの場所や時間、状況に応じて着るものが変わってきたということです。
ちなみに、日本のお坊さんというのは3つの国の伝統のものを着ているのですが、さて何でしょうか?
この答えは、またあらためてお話ししたいと思います。