13権者(その1)

慈眼寺の経蔵の左右には、13体の仏様が祀られています。

この13権者という方々が、秩父の札所を始めたというお話が伝わっています。

文暦元年、1234年3月18日に秩父の札所を回って、33の観音霊場を定めたと言われているわけです。

 

実在の人もいれば、架空の人もいますし、仏様や如来様、またお坊さんもいます。

秩父の札所を考えるうえで、この13権者というのは、歴史的にも信仰的にも大切な意味があるのです。

 

まず、熊野権現と蔵王権現がいらっしゃいます。

「権現」というのはいわゆる修験道の人たちのことです。

神道と仏教が一緒になって、山を中心に信仰または修行を深めた人たちのことを「修験道」と言います。

秩父の山では、昔は修験道の人たちが修行していました。

そういう人たちの修行場所、または休む場所だった所が札所なのではないかという説もあります。

 

次は妙見大菩薩ですが、秩父神社を表しています。

秩父神社は妙見様をお祀りしている神社です。

逸話の中では、妙見大菩薩が先達、つまりリーダーとなって12人の権者を引き連れて秩父の札所をお参りしたというのが始まりと言われています。

秩父神社と密接な信仰上のつながりがあるということを表しています。

 

次に善光寺如来ですが、長野県の善光寺様そのものです。

善光寺様は阿弥陀様で、阿弥陀様は西方を表しています。

ここに、日本の仏教信仰の中での、善光寺というお寺が果たした役割、その重要性が表れているわけです。

13権者、秩父の札所を開設したと言われている方々の中に、善光寺様もお祀りされているということです。

 

ですから、日本百観音が終わった後、最後の締めということで善光寺に行くというようなことも伝わっております。

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