秩父札所十三番住職 南泉和尚

南泉和尚のブログ

優勝なんか目指さない

2021年12月2日

新庄が日本ハムの監督に就任しました。

昔は私も野球が好きでしたけれども、最近はあまり興味がなくて、ニュースで見ている程度でした。

ところが、今回の日本ハムの人事や戦略はすごいのです。

「ここで新庄を持ってきたか!」という感じで、経営陣の鋭さに敬服いたしました。

 

そして、もっと驚いたのが新庄です。

新庄の記者会見を見たのですけれども、思いつきで話しているようで、実はそうではありません。

阪神や日本ハムにいたとか、メジャーリーグに行ったとか、いろいろと最近話題になってますけれども、そのド派手なパフォーマンスや着ているもの、型にはまらない言動が計算だったということを知りました。

どうすれば世の中から注目をされて、人が集まって、そしていろいろなものが動いていくかということを、かなり戦略的にやっているわけです。

 

先日、槇原があるテレビで言っていました。

今回、新庄が監督になるということで必ず敬遠球を打たれたピッチャーとして槙原の映像が出てくるのですけれども、実は新庄は何日も前から敬遠球を打つ練習をしていたと、槙原に語ったそうです。

つまり、あれは何気なく打ったのではなくて、そういう場面のためにきちんと準備をしていたらしいのです。

 

実は、去年のトライアウトを受けた時に、日本ハムから「いつかまたご縁がありましたら」というメールが来たそうです。

「これは選手契約があるかもしれない!」と思って待っていたのですが、3日経っても連絡が来ませんでした。

その時に「ああ、これはもしかしたら1年後にあるかもしれない」と気がついたそうです。

それで1年間、いろいろなチームの視察をしたと言っていました。

そして実際に、1年後に監督としての記者会見の場に立っているというわけで、これは本当にすごいなことです。

 

そしれ私が一番驚いたのは「優勝なんか目指さない」という言葉です。

おそらく、野球の監督だけではなく、あらゆるスポーツの監督でそういうことを初日に言った人は初めてだと思います。

しかし「これは時代に合っているな」と私は感じたわけです。

 

みんな「目標に向かってどんどんやるということが大事だ」という教育を受けてきたわけですが、それで目標を達成できないとガクンと落ち込んで、「私はダメなんだ」みたいになってしまいます。

ところが、目標を明確に定めないでも、「しっかりと毎日やるんだ。コツコツ毎日やって1つ1つ勝つんだ」と続けていれば、優勝できるのです。

 

つまり、「目標に向かっていく」ということを目的にしないことが大事なのです。

その日に勝つことをしっかりとやっていくことが前提であって、結果として達成されるかもしれない時は頑張ろうというわけです。

これは今のこれからの組織を運営する、チームをまとめるためにもすごく大事なメッセージだなと感じました。

 

さらに「今年ドラフトで入ってきた人も、ベテランの人も全部含めて同じ列だよ」と言いました。

ベテランだからといって、過去のことで評価しないで、現時点で評価するというわけです。

最近、組織論としてティールというものがあります。

これは社長や上司がマネジメントをしなくても、目的のために進化を続ける組織のことなのですが、これはまさにティールだなと思って、新庄の話を聞いていました。

そういう意味でも、新庄のメッセージや動きが、これからのプロ野球だけではなく、日本全体に大きな影響を与えるはずです。

 

その時、日本ハムの経営陣2人は硬い表情で新庄の両脇に座っていたのですが、何か釈迦三尊像のようにも見えました。

しかし、その両脇がいることが大事なのです。

新庄は、実は結構相談しているはずです。

「どこまでやっていいのか」みたいなことを、きちんとオーナーや社長と確認を取りながらやるという辺りも、経営や組織として日本ハムは面白くなりそうな予感がします。

北海道では、きっと人が大きく動くのではないでしょうか。