秩父札所十三番住職 南泉和尚

南泉和尚のブログ

呼吸と睡眠

2021年9月28日

「もうできない」と、自分で限界を決めてしまうことが結構あります。

本当に心や意識というのは不思議なもので、周りの人から「そういうもんだよ」と言われると、「ああ、そうだな」と受け止めてしまうのです。

 

人間の力というのは一体どこまで伸ばせるのか、また開かれるのかということは、全くわれわれ予測ができない部分があります。

例えばメジャーリーグの大谷選手も、「二刀流なんてできないよ」と言われていました。

しかし、それができるようになってしまうと、きっと第二、第三の大谷選手が現れるのです。

 

ほかにも、陸上では「日本人は10秒0をきれない」「2メートル近く、体重も100キロぐらいないとダメだ」と言われていたではないですか。

それが今、10秒をきっているわけです。

朝原さんが何度も挑んだけれどもできなかったのに、ある時超えてしまったら、どんどんいってしまうわけで、これが面白いのです。

 

きっとそういうようなことは、これからもいろいろな分野で起こってきます。

人間の脳や心、意識の問題というのは、いろいろと研究されているけれども、実はまだ分からないところがあるというのが今現在の結論のようですが、少しずつ解明されてきました。

お釈迦様の時代、2500年前に言っていたようなことが、実は科学的に「こういう裏付けがあるんだ」というようなこともあるのです。

そういうアプローチから、人間の心の営みや成長、そういったものを分かりやすく説明 できればいいなと考えています。

 

 

やはり、そういう中で大切なのが呼吸をゆっくりするということで、これがいろいろな意味で脳や心、意識を整えるということに共通しているようです。

ほんの1分、できれば3分、できれば5分、もっと欲を言えば2時間やってみてください。

 

坐禅というのは、「座る禅」と言われています。

しかし、お釈迦様の時代に説かれているものを見ると、「禅」というのは4つあるのです。

「行住坐臥」、つまり、行う、住む、座る、横になる、このそれぞれが禅だと言っているのです。

ですから、行住坐臥というすべての禅の中で、座るというところを「坐禅」と言っているわけです。

 

ですから、「歩く禅」というのもあるのです。

臨済宗と曹洞宗では歩く禅のやり方は違うのですが、大本山総持寺などでは、「経行」と言っています。

経行というのは、一息吐く、一息吐く、吐いて吸う時に半歩動くという感じで動いていく坐禅なのです。

たとえ歩いていても呼吸をゆっくりにして、意識を集中して、ゆっくりと半歩だけ前に進むのです。

目は開けたまま少し前の方、立った場合は大体2メートルぐらい前を見て、そして自分の足の半分だけ進みます。

その時の呼吸は胸ではなくて、おなかの下に入れるような、つまり坐禅をするのと同じような感じです。

 

お釈迦様の時代もそうですし、道元さんもそうですし、「日常生活すべてが禅だ」と言っています。

禅というのはどういうことかというと、静かにするということです。

ですから、食事を作る時も「一生懸命食事を作る」ということを意識するわけです。

食事をする時も、1つ1つ味わいます。

おかゆをいただく時は、心しておかゆをいただく、漬物をいただく時は、心して漬物をいただく、その1つ1つを、いろいろな五感で感じて噛むわけです。

 

「今ここ」に集中すること、これは実は元を辿ると坐禅なのです。

ですから、歩くこと、息を吸うことに集中し、「ああ、今車が通ったな」というふうに意識がそれることを鎮めます。

私たちの意識というのは、すぐにどこかにいってしまいます。

下手をすると、すぐに武甲山の頂上に登ってしまうのです。

しかし、それを「いや、ちょっと待て」「そこは自分がいないぞ」と、自分はここにいるのだから、ここに意識を持ってくるわけです。

意識というのはすぐ離れていってしまいますから、今ここに心と意識を落ち着かせるのです。

歩く時も、座る時も、座臥、寝る時もそうです。

 

ほとんどの人は、寝る時に心配事があると、その心配事を引きずったまま寝るではありませんか。

「うわー、今こんな心配があって、頭の中こんなになっちゃって、わー、どうしよう」と思って寝るから、その心配事が頭から離れないのです。

いろいろなことが浮かんできて、思考のループに入ってしまうのです。

まず寝る前に、1度その悩みごとを全部書き出して、「はい」と捨てて、手放してから寝るということをやるといいそうです。

 

つまり寝る時も、「寝る」ということに集中するわけです。

ゆっくり呼吸をして、どうしても頭の中にいろいろなことが浮かんだ時は、御真言を唱えてみてください。

「オン アロリキャ ソワカ」とか「ギャーテー ギャーテー ハーラーギャーテー」

でもいいのです。

あとは呼吸を、「1、2……」でもいいのですが、昔「羊が1匹、羊が2匹と」やったではないですか、あれと同じようにやってみてください。

 

脳は面白いもので、そういうようなことを思い浮かべている時には、さっきまで浮かんでいた妄想や、意識が飛んでしまうようなことがなくなっているのです。

またそっちに行ってしまったら、戻ってきて、「オン アロリキャ ソワカ」とか「オン コロコロ センダリマトウギソワカ」と頭の中に思い浮かべて、それを唱えているように意識をすると、まさにこの妄想が鎮まるのです。

そうすると、いつの間にか寝ているわけです。

 

それで気が付くと鳥が鳴いています。

そうすると、やはり朝が変わるのです。

朝を変えるためには夜を変えなくてはいけないので、睡眠を大切にしましょう。

 

 

皆さん、やはり最後が大事なのです。

睡眠が1日をつくりますから、いかに睡眠をしっかりとるか、そのためにはやはり、寝る前に呼吸を整えるということが大事なのです。

呼吸を整えて、静かな時間を持つと心が整っていきますから、体も整って、毎日がはっぴーにつながっていきます。

毎日をはっぴーにしましょう!